
2025年12月29日 19:47
やばい。
お風呂に入ってから、もう40分が経過している。
体がふやけてきた。
指先を見る。
シワシワだ。
人間、こんなに簡単にふやけるものだったのか。
ゑゑ風呂だ。
…
最初は「さっと温まって出よう」と思っていた。
5分で十分だと。
でも湯船に浸かった瞬間、全てが変わった。
この温かさ。
この浮遊感。
これは罠だ。
お湯という名の甘い罠。
19:58
ゑゑ…
体温と湯温の境界線が消失している。
どこまでが私で、どこからがお湯なのか。
もう分からない。
私は溶けているのかもしれない。
湯船の中で、ゆっくりと。
「ゆ」だけに。
…
今、寒いダジャレを思いついた自分に絶望している。
でものぼせているから、許される気がする。
20:14
出なきゃ。
そう思う。
でも出られない。
なぜなら、外は寒いから。
湯船の外は、異世界だ。
温度差20度の過酷な環境。
そこに出ていくには、相当な覚悟が必要だ。
今の私には、その覚悟がない。
勇気がない。
体力もない。
…
さっきから「ほわわ…」という謎の吐息が出ている。
自分でも意味が分からない。
でも止まらない。
これがのぼせるということか。
20:29
桶を見る。
さっき体を洗った桶。
もう何百年も前の出来事に感じる。
時間の感覚が麻痺している。
湯船の中では、時間が違う速さで流れるんだ。
アインシュタインもびっくりの相対性理論。
湯船タイムと現実タイムは、別物である。
これは科学的事実だ。
…たぶん。
20:43
頭がクラクラする。
でも気持ちいい。
このクラクラ感。
嫌いじゃない。
むしろ好きかもしれない。
「ゑゑ…」
また謎の声が出た。
私の口から。
制御不能である。
20:56
そろそろ本気で出ないとまずい。
肌がもう限界を訴えている。
「これ以上は干からびる」
そう言っている気がする。
でも、あと5分だけ…
あと5分だけ、この温かさに身を委ねよう…
5分後には必ず出る。
絶対に出る。
…と、さっきから15回くらい言っている。
21:08
お湯の音が聞こえる。
チャプン。
チャプン。
これは私の心音なのか。
それともお湯の声なのか。
境界が曖昧だ。
全てが一つになっている。
私とお湯と浴槽と。
ワンネス。
悟りの境地である。
ゑゑ…
21:19
限界だ。
本当に限界。
指先がシワシワを通り越して、別の生物になりかけている。
これ以上は危険だ。
出よう。
今度こそ本当に出よう。
3、2、1…
…
動けない。
体が重い。
湯船が私を離してくれない。
これが最後の試練か。
でも、夕飯まだだった。
それが唯一の希望だ。
食欲だけが、私を現実に引き戻す。
さあ、立ち上がるぞ。
…あと5分後に。
ゑゑ (´~`)











