
取材をすることになった。
…
ゑゑ…
誰かの話を聞く。
それが私の仕事らしい。
マイクを握り、向かいに座る人の話を聞く。
うなずいて、相づちを打って、時々質問する。
…できるのか、私に。
相手は何やら一生懸命話している。
手を動かして、身振り手振りで説明している。
熱意が伝わってくる。
すごい。
でも、私の頭には何も入ってこない。
…やばい。
「なるほど、なるほど」
とりあえず、なるほどと言っておく。
なるほど、は便利な言葉だ。
何も理解していなくても、
なるほど、と言えば、
理解しているように見える。
多分。
ゑゑ…
相手の話は続く。
私のうなずきも続く。
この、うなずき続ける作業。
地味に疲れる。
首が。
でも、止められない。
止めたら、「聞いてないのか」と思われる。
聞いている。
聞いてはいる。
耳には入ってきている。
でも、脳には届いていない。
その差は何なのか。
…
ゑゑ…
「それで、あのですね…」
相手がさらに話を展開する。
私はマイクを持つ手に力を込める。
取材している感を出すために。
でも、取材している感とは何なのか。
マイクを握っていれば、取材なのか。
形だけは取材だ。
間違いなく。
テーブルがあって、
椅子があって、
マイクがあって、
ラジオっぽい機械があって、
話している人がいて、
聞いている私がいる。
完璧な取材の構図。
でも、私の脳内は空っぽだ。
「なるほど、なるほど」
また、なるほど、が出た。
二回言った。
二回も言えば、より理解している感が出る。
そういう計算だ。
浅い。
ゑゑ…
相手は私の「なるほど」に安心したのか、
さらに話を続ける。
申し訳ない。
私は何も理解していない。
でも、うなずく。
相づちを打つ。
「へぇ〜」
今度は「へぇ〜」を出してみた。
バリエーションは大事だ。
取材とは何なのか。
聞くとは何なのか。
理解するとは何なのか。
…またやばい。
哲学的になってきた。
こういう時の私は、何も生み出せない。
さっきと同じパターンだ。
学習しない。
相手の熱弁は続く。
私のうなずきも続く。
この時間が、いつか終わることを願いながら。
でも、終わったら終わったで、
「あれ、何の話だったっけ」
となるんだろう。
それが私だ。
ゑゑ…
「なるほど、勉強になりました」
最後はこう締める。
鉄板だ。
勉強になったかどうかは、別として。
ゑゑ ( ˘ω˘ )











