マイクを握ったまま黙る午後 ゑゑポッドキャスト

ゑゑポッドキャスト

ポッドキャストを始めることになった。

ゑゑ

なぜだろう。

私には特に語ることがない。
いや、語ることがないわけではない。
語る気力がないのだ。

でも、もう一人の私がマイクを握っている。

ラジオっぽい機械も置いた。
雰囲気は出ている。
雰囲気だけは。

「何か喋らなきゃ…」

そう思った瞬間、頭が真っ白になる。
いつものことだ。

向かいに座る私は、どんな顔をしているのだろうか。
私と同じ顔だ。
当たり前だ。

ゑゑ

「今日はですね…」

言葉が出かかる。
でも、「今日は」の後に何も続かない。

今日は何だ。
今日は何なんだ。

今日は、ポッドキャストを撮ることになった日だ。
それ以上でもそれ以下でもない。

でも、それを言ったら終わりじゃないか。

「今日はポッドキャストを撮ることになりました。以上です」

…これでいいのか。
これでいいのか、私。

向かいの私が何か言いたげにこちらを見ている。
いや、見ていない。
顔が「ゑゑ」だから、表情が読めない。

便利なのか、不便なのか。

マイクを握る手が微妙に震えている。
緊張しているのか。
それとも、この状況の無意味さに気づいてしまったのか。

ゑゑ

テーブルの上のラジオっぽい機械が、何かを期待しているように見える。
「早く面白いこと言えよ」と。

でも、私は面白くない。
むしろ、面白くないことに定評がある。

「あのですね…」

また言葉が出かかる。

あの、ですね。
あの、ですね、何だ。

私は何を伝えたいんだ。
ポッドキャストとは何なのか。
配信するとは何なのか。
人に聞いてもらうとは何なのか。

…やばい。
哲学的になってきた。

こういう時の私は、大体何も生み出せない。

向かいの私が、わずかに首を傾げた気がした。
気がしただけだ。
首を傾げたかどうかも定かではない。

ゑゑ

結局、この収録は何も生まれないまま終わるのだろう。

でも、それもまた一つの記録だ。
何も生まれなかったという記録。

私たちは、ただテーブルを挟んで向かい合い、
マイクを握り、
ラジオっぽい機械を眺め、
沈黙を共有した。

それだけの話。

それだけの話で、いいのか。

いいんだ。

多分。

ゑゑ (´-ω-`)

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