マイクを握ったまま黙る午後 ゑゑポッドキャスト

ゑゑポッドキャスト

ポッドキャストを始めることになった。

…

ゑゑ…

なぜだろう。

私には特に語ることがない。
いや、語ることがないわけではない。
語る気力がないのだ。

でも、もう一人の私がマイクを握っている。

ラジオっぽい機械も置いた。
雰囲気は出ている。
雰囲気だけは。

「何か喋らなきゃ…」

そう思った瞬間、頭が真っ白になる。
いつものことだ。

向かいに座る私は、どんな顔をしているのだろうか。
私と同じ顔だ。
当たり前だ。

…

ゑゑ…

「今日はですね…」

言葉が出かかる。
でも、「今日は」の後に何も続かない。

今日は何だ。
今日は何なんだ。

今日は、ポッドキャストを撮ることになった日だ。
それ以上でもそれ以下でもない。

でも、それを言ったら終わりじゃないか。

「今日はポッドキャストを撮ることになりました。以上です」

…これでいいのか。
これでいいのか、私。

向かいの私が何か言いたげにこちらを見ている。
いや、見ていない。
顔が「ゑゑ」だから、表情が読めない。

便利なのか、不便なのか。

マイクを握る手が微妙に震えている。
緊張しているのか。
それとも、この状況の無意味さに気づいてしまったのか。

ゑゑ…

テーブルの上のラジオっぽい機械が、何かを期待しているように見える。
「早く面白いこと言えよ」と。

でも、私は面白くない。
むしろ、面白くないことに定評がある。

…

「あのですね…」

また言葉が出かかる。

あの、ですね。
あの、ですね、何だ。

私は何を伝えたいんだ。
ポッドキャストとは何なのか。
配信するとは何なのか。
人に聞いてもらうとは何なのか。

…やばい。
哲学的になってきた。

こういう時の私は、大体何も生み出せない。

向かいの私が、わずかに首を傾げた気がした。
気がしただけだ。
首を傾げたかどうかも定かではない。

ゑゑ…

結局、この収録は何も生まれないまま終わるのだろう。

でも、それもまた一つの記録だ。
何も生まれなかったという記録。

私たちは、ただテーブルを挟んで向かい合い、
マイクを握り、
ラジオっぽい機械を眺め、
沈黙を共有した。

それだけの話。

…

それだけの話で、いいのか。

いいんだ。

多分。

ゑゑ (´-ω-`)

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